夜の世界(街)へようこそ

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もういいよね。 せっかくここまで大胆に言っちゃったなら最後までとことん言う。 私は呆れて開き直った。 「・・・修也さんのこと気になりました。」 「え!!??」 せっかく勇気をだして言ったのに修也さんは驚いてあたふたしてるだけ。 そこがいいのかもしれないけど私にはいじらしかった。 「修也さんって妻子持ちですか?」 いまさらだけど私っていわゆる「彼女いますか?」みたいなこと聞いてるんだよね? こんな泥沼な関係だから聞きづらいんだよね...。 でもなんで好きなのかな? そういうのって気づいたら堕ちてたみたいなものかな? 「え?・・・・・・・・いませんけど。」 けど? それって私はダメってこと? 遠回しにフラれてる? ガタッ。 私は椅子から立ち上がって修也さんに聞いた。 修也さんは眼鏡をとっていてよくはっきりと距離感がわかるようになった。 こういうのもギャップ萌え? 「本当に私、好きだと思います。だから考えてみてください!」 私は頭を下げて謝るようにとにかくお願いしてみることにした。 私ってこんなにも大胆になったんだな...。 昔なら何も言えなかったんじゃないかな? なんでって......。なんでだっけね? 「わっ、わかりましたから。頭を上げてください!」 「・・・。」 私は修也さんに言われるままに頭を上げた。 なぜか修也さんは笑っていて。 「でも行動もいいかもしれませんが美和ちゃんもよく考えてみてください。本当に好きかを。」 「・・・はい。」 そうだよ。 私は勢いに任せて行動したんだ。 わかってるのは私じゃない。 修也さんの方がわかってる。 「それじゃあ、出ましょうか?」 「はい。」 私はバックを持って出ようと修也さんの後を追おうとして隣についた。 ニコッと笑っているからつられてニコッと笑う。 こういうの和むな......。 修也さんって包容力があるんだよね。 嬉しいけどね。 「あ。持ちますから。」 「え?」 修也さんは平然と笑って私のバックをとられた。 修也さんは私のバックを持つなんて多分女性に慣れてるのかな? 変だよね。 胸の奥が掴まれたような苦しさとかチクチクとかしない。 「修也さん。」 「うん?」 わざわざ靴を履いてる修也さんを呼び止めた。 悪いのはわかるけど少しくらい許してくれますか? 「・・・ありがとうございます。」 ガチャン......。
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