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そして恒例である、私は携帯を出した。
修也さんもわかっているかのように同じく取り出す。
「それじゃあ、消そっか。」
「ああ、本当に今夜だけなんだね。」
「そういう約束。守ってよ?」
「もちろんだよ。」
♪♪~
お互いの連絡先を消去すること。
もしかしたらこの人がまた私に会おうと私を追うかもしれない。
人は見かけによらないから。
そのための保険。
必要性はあるでしょ?
この人にとっては私は『一夜の過ち』、そんな程度。それで引き受けたんだから。
人は嫌なものは忘れて何回でも塗り替えれる。
でも私は違って塗り替えれない。
色は何色も塗ればやがて黒に染まる。
きっと私のことだ。
「それじゃあ、そろそろ行こうか?」
「そうですね.........。」
そこからカフェを出てから、ホテルに直行する。
お決まりのことすぎていちいち感情が感じなくなった。
私の心は無数の棘がじくじくと私を侵食して身動きができなくなってしまうほどに蝕む。
だから私は麻痺している。
それはこの行為も。私自身も。
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