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「…で、それをわざわざ言いに来たのか?」
次の日、教室で腰が抜ける寸前の僕はなんとか神楽の前に立っていた。周りには遊び仲間が数人僕を見て笑いますます小さくなった。
「誤解してるだろうと思って」
「誤解ねぇ」
見透かすようなその視線をそらすように俯いた。
「いくらだった?取ったやつ」
「…え?」
緊張からか裏返ったような声が出て口を抑えた。
「買ったんなら金額位覚えてんだろ?」
「ひゃく…幾らか…レシートは財布に」
「100日」
「…え?」
「100日間俺に従うなら忘れてやる」
100日!!?
「でっ……でも僕万引きなんかっ……!」
「あん時俺いなかったら?」
言葉を詰まらせた。
「100日がなんだ、人生終わるよりいいだろ」
フッとまた口角だけをあげる笑みを見せた。
自分なんかが何を言っても無駄だ。
青い瞳が凍えるように冷たく見え、食いしばっていた顎の力を抜いた。
「分かった」
「昨日からにしといてやるよ、工藤くん」
神楽は立ち上がるとそっと耳元に囁くように言った。
どうしてこんな事に……っ!
つくづく運がない自分を呪った。
しかし無情にも、まだ地獄の100日は始まったばかりだ。
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