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5.
「ほ、本当に、俺でいいの?」
「いい」
「何回も言わせないで」
ルイスの言葉で理性をやられた俺とチャーリーは、さっさと会社を閉め、ルイスの家に押しかけていた。
会社の程近くにあるのもそうだが、ルイスが一番落ち着ける環境がいいだろうと、二人で申し立てたのだ。
そして、やけにあっさり受け入れたなと思っていたら、どうも俺らが思っていた事と、ルイスの思っていた事に、かなりの齟齬があったらしく、未だベッドの端で無駄な足掻きをしている所。
「誘ったのはそっちだろ?」
「そうそう、さっさと観念して? 僕ら待ちくたびれちゃった」
「でもさ、腹減らない?」
「無理、こんなんで外出れない」
俺はルイスの手を掴むと、自分の股間に触れさせる。びくりと手を引っ込めようとするが、ぐっと掴み、そこに腰をさらに押し付ける。少し体温が低めの彼の手は、スラックス越しにもひんやりと感じた。そして、俺が腰を押し付ける度にぴくぴくと動く指先が、何とも言えない感覚を与えてくる。
ルイスは、自分の手と俺の股間を真っ赤な顔で凝視している。
(かわい・・・)
ぺろりと下唇を舐めると、黙ってみていたチャーリーがルイスに近づき、ベストのボタンをゆっくりと外し始める。
「えっ!? わっ!?」
「痛いってば」
開いている手でぺちぺちとルイスはチャーリーを叩く。
しかし、あっさりと捕らえられたその手は、チャーリーの股間に当てられ、さらに顔を真っ赤にして目を白黒させている。後ろに逃れようとするのだが、すでに壁に背中がついていて、シーツに不自然な皺を作るだけ。
それをいい事に、俺達はルイスの左右に顔を近づけ、頬や耳や首筋にキスを落とし、空いている手でシャツのボタンを外していく。
「っ・・・んっ・・・」
ぴくぴくと反応する彼が愛おしい。
俺らの中で一番身長が高いのに、今は一番小さくなって、ウサギの様にふるふると震えている。
テノールに響く声が、オクターブ高く発せられ、否応なく高められる興奮に知らず息が荒くなる。
はだけた胸に、そっと手をはわせる。
体を捩るような仕草をするが、両腕は捕らえられているから、それは俺達を煽るだけ。
「っ!?」
ひゅっと息を吸う音が聞こえた。
見ると、チャーリーがルイスの胸に口づけていた。そしてそのまま舌をはわし、突起を食む。
「あ、ずるい。俺も」
股間に押し付けていたルイスの手を離し、シャツをはだけさせ、舌をはわせ口づけをする。しっとりとしたきめの細かい肌が、逆に吸い付いてくる様だ。
「ルーの肌、気持ちい・・・」
「これが日本の血ってやつ?」
「や・・・やめ・・・っ。きたな・・・」
「ルーに汚いとこなんてないし。ね?」
「そうそう」
無駄な毛が一切ない肌。
ふと脇はどうなってるんだろうと、壁に左手を縫い付ける。まだ脱がしきれていないシャツが邪魔をするので、ぐいと引っ張り上げ、そこを覗き込む。
「ちょっ、まっ! ザン!」
「へー、ここも薄いんだー」
「ひいっ!?」
べろりと腋を舐める。ちょっとだけしょっぱい。
申し訳程度に生えている腋毛は、切りそろえた様にこじんまりとしていて、しかし、ふわふわと柔らかく、口で触れても全然嫌な感じはしない。
はむはむとそれを咥えると、ルイスはいやいやと体を捩る。それがなんとも可愛らしい。もっと、虐めたい・・・。
じーっという音が聞こえ目を向けると、チャーリーがルイスのズボンに手をかけていた。
(もー、さっきから狡いんだからーっ)
「チャック」
「ん?」
「さっきから狡くない?」
「なにが?」
きょとんとした表情をするチャーリー。しかし、手を止めるそぶりは一切ない。
じとりとその顔を見て、ズボンにかけている手を捕まえる。
「だから、なに?」
ものすごい迷惑そうな顔をされた。俺も負けじと顔を険しくさせて、「抜け駆けは無しだ」と、無駄にいい声で言ってやると、ちょっとうっとりとした表情をした。そして俺の手を取ると「しょーがないなー」と、ルイスの膨らみに俺の手を導く。
「ほら、お先にどうぞ」
「いいの?」
「後は頂くけどね?」
「ずるいっ!」
「君は、コレ入れてもらいな」
「・・・は?」
「君は両方いけるでしょ?」
んふふと笑ったチャーリーにムッとする。自分だってそうだろうが。
「それはチャックもだろうが」
「最近は君の方が慣れているでしょ?」
「あのなあ・・・」
「ね、なんの話・・・?」
おずおずとルイスが声を掛けてきた。
まあ、そうだろう。だって、俺らの関係は知らないのだから。
俺が口籠っていると、チャーリーはにっこり笑って、ルイスのスラックスとパンツを一気に引き抜いた。
「わっ! わっ!?」
予想外の事に、ルイスは足を自分の方に折り曲げ、顕わにされたペニスを隠す。しかし、代わりにアナルが丸見えになった。
チャーリーが太ももをぐっと抑え、予備動作なくそこに舌を伸ばす。
「ひぐっ!?」
驚き逃れようとするが、チャーリーの剛腕に押さえられ、身動きが取れず、未知の感覚に悲鳴とも驚きともとれる声を上げる。
ちょっとだけ近くにいる俺に必死に手を伸ばしてくるので、抱きしめてキスをしてやると、ぎゅっとしがみついてきた。
(やばい、可愛すぎる!)
・・・今日はこれしか言っていない気がする・・・。
唇を離しても、ルイスから押し付けてくるので、諦めて思い切り堪能する事にした。その間も、チャーリーはルイスのアナルを丹念に解していく。びくりびくりと体を揺らしながらも、俺に助けを求めるルイスに、ひどく欲情する。
チャーリーに抑えられていた太ももは、すでに力なく開かれており、完起(かんだち)のペニスが体の揺れに合わせてゆらゆらと揺れている。
なんとも扇情的な画だ。
左手を伸ばし、ルイスのペニスを扱く。
瞬間、がくりと仰け反り、ずるずるとベッドに滑り落ちた。チャーリーは太ももを引き寄せてそれを手伝ってやる。
足を大きく開いて体を折り曲げる体勢に、ルイスは自分の両手で顔を覆った。
ルイスの横に寝そべりながらその耳元に口を寄せ、「顔見せて」と囁く。ちょっとだけ手を挙げてこちらを見るが、すぐにふいっと反対を向いてしまう。仕方がないので、白い項(うなじ)に思いきり吸い付いてやった。
「あっ?! あっ、あっ、やあっ!?」
その途端、困惑した様に声を上げながら、ガクガクと体を震わせ始めると、ひと際大きく仰け反り、自分の腹の上に精を吐き出す。顔を隠す為に使われていた両手はいつの間にかシーツを握りしめており、ルイスの蕩け切った表情を間近で見せつけられ固まった。
ルイスのそれは、凶器以外の何物でもなかった。
俺をルイスという沼に沈める為の凶器・・・いや、とっくに沈んではいたのだから、とどめを刺されたとでも言い換えようか。
それはチャーリーも同じだったようで、アナルを弄る手を止め、驚いた表情でガン見している。
「・・・あ・・・は・・・っ」
快感を引きずるルイスは、ピクピクと体を震わせている。
思い出した様に手を伸ばし触れると、びくびくとした。
(感じすぎだろ・・・)
そこからは、もう、無我夢中だった。
どこを触れても気持ちよさそうに声を上げるルイスに、俺とチャーリーは翻弄され、魅了され、時間を忘れてその美しい体を味わった。
どの位そうしていたのか、チャーリーがついに挿入を開始した。
「あ・・・ああん・・・んんっ」
どろどろに溶かされたとはいえ、初めて受け入れるそれは、快感と同時に違和感も与えるらしく、何ともいえない声を上げる。
「・・・わ、すっげ・・・」
チャーリーがそう漏らした。
口調が素に戻っているので、それほど、という事なのだろう。
(経験豊富なチャックが、こんな顔するなんて・・・)
俺とする時とは違うその表情に、少しだけ嫉妬する。それと同時にルイスの中に興味を惹かれ、チャーリーとルイスの結合部に手を伸ばす。
しかし、その手は払い除けられ、何すんだよと睨んだら、快感に濡れたいやらしい目でチャーリーがこっちを見ていた。ちょいちょいと指先で呼ぶので、体を起こし彼の近くに膝立ちで行くと腕を引っ張られ、彼に凭れる形になる。
「な、あっ?!」
文句を言ってやろうと口を開くと、俺を引き寄せた手でアナルを弄ってくる。チャーリーによって開発済みのそこは、すぐにあの快感を思い出し自ら拡がり、そこにチャーリーの指を招き入れようとするが、女と違って簡単に自ら濡れるわけではない。
「濡らして」
「ん・・・うんっ」
弄っていた指が口の中に差し入れられる。二本の指で舌を挟まれ、扱く様に動かされる。ぼたぼたと口から涎が零れ落ちた。
口から指を引き抜かれると、今度はどんと強く押され、俺はルイスの横に尻を突き出す様に床に倒れこむ。
「あう、んんっ!」
無遠慮に指をアナルに突っ込まれ掻き混ぜられる。
急(せ)いている様で、いきなり前立腺をぐいぐいと攻めてきた。
「あっ、ああっ!」
すぐに目の前がチカチカとしてくる。隣では、ルイスがチャーリーにゆるゆると揺さぶられている。
すぐに何も考えられなくなり、ルイスの横顔を見つめながら、チャーリーにアナルを抉られる。
指なのが残念でならない。
すでに奥が切なくなってきていて・・・知らず腰を振り、もっと奥へとその指を誘(いざな)おうとしていた。
「ふふっ。エロい兄弟」
嬉しそうなチャーリーの声が耳元に届いた頃、俺はアナルから指を引き抜かれ、ころりと仰向けにされる。
次にルイスがチャーリーを咥え込んだままうつ伏せにされ、嬌声を上げた。そのルイスと目が合うと、正気に戻った顔で目をきょろきょろと泳がす。
そして、くいとルイスは上半身を持ち上げられると、ちょっと苦しそうに眉をしかめた。そのままチャーリーはルイスの腹に両手を回し俺に覆いかぶさって来る。
(え・・・まさか・・・っ)
ルイスも困惑した様に目をしばたたかせ、俺とチャーリーに交互に顔を向ける。
「ザン、ほら」
「ま、マジ?」
「大好きなお兄様の入れてもらいな」
「えっ?」
「俺だってルーに入れたいんだけど?」
「またまた~っ」
チャーリーが、ルイスのペニスを掴み俺のアナルにつるんと触れると、
「んっ」
「あっ」
俺らは、同時に小さく喘ぐ。
その瞬間、俺のアナルがクパリと開いたのに合わせて、チャーリーは自らの腰の動きと共に、ルイスのペニスをぐいと押し込んできた。
「ひっ!? やっ、あっ!」
再び同時に声を上げる。
ルイスの抵抗空しく、あっという間に俺の中に全て収まった。
チャーリーのより幾分か長いそれは、俺の中の未知なる部分に息を吸う度ちょっとずつ入り込んでくる。
(やば、気持ちよすぎる)
もっと気持ちよくなりたくて、腰をもじもじと動かすと、ぱちゅんという音とともに、さらに奥に入り込んでくる。
「ああっ!」
「ひゃんっ!?」
「も、俺も持たないから・・・」
完全に主導権を握っているチャーリーが、そう宣言すると、切なそうな吐息を吐きながら腰の動きを速めていく。
ルイスは後ろからも前からもくる快感に、悶えていつの間にか俺の腹の上に横たわり、体を震わせていた。
俺は俺で、いつもとは違う奥だけを突かれるだけの刺激に喉を震わせる。
ふとルイスの青みがかった黒い瞳と目が合う。どちらからともなく唇を重ね、ほぼ同時に与えられる快感に浸る。
ルイスと溶けて混ざって一つになりそうだ。
夢中になっていると、「ずるいよ、君たち」とチャーリーが割り込んでルイスにキスをする。無理矢理後ろを振り向かされ、苦しそうに呻く表情が何とも色っぽい。
「チャーリー、俺もー」
いい加減バカになっている俺は、両手を伸ばしキスを催促する。
「はいはい」
苦笑いされ、やはりちょっと無理矢理に上半身を持ち上げられる。ルイスが中に入ってるから、かなり腹筋を使わないとチャーリーの唇に届かない。体を折り曲げた事で締め付けが強くなったのか、ルイスが切なげに眉根を寄せ息を吐き出したのが聞こえ、俺の中の彼自身がピクリと動いた。それが俺の良い所を刺激し、腰を揺らすとルイスも体を揺らし、その先のチャーリーにも影響が行きループする。・・・終わりが見えないゆるゆるとした快感に、恐怖すら感じ始めた。
チャーリーも同じだった様で、キスを交わした後ルイス越しに俺の腰を持ち、先ほどよりも激しく突き上げてきた。
俺とルイスはただただ喘ぎ続け、三人ほぼほぼ同時に昇りつめた。
「・・・次のご褒美はいつになるかなぁ・・・」
チャーリーとベランダで煙草を燻らせながら、そう呟いた。
「次があればいいけどねぇ」
「俺まだ突っ込んでないもん」
ふはっと笑う声が聞こえたから、ジロリと睨んでやるが、彼は更に笑顔になっただけだった。
今、ルイスは寝室ですやすやと寝息を立てている。本当は、次に俺がと思っていたのに、初めて男に抱かれた上に、男としての喜びも与えられ、目を覚ます事無く眠りに落ちて行った。
まあ、しばらく俺も動けなくて、後始末はほとんどチャーリーにやってもらったから、あんまり変わんないけど・・・。
「俺に突っ込んどく?」
「いーよ。今度ルーにやらせてもらうから」
それに満足はしてるしと小さく付け加えた。
ちょっとの間を置いて、頭をくしゃりと撫でられる。
聞こえてしまったのが何だか気恥ずかしくて、その手を払いのけたら、くすくすと笑い声が降って来た。
きっとまた無駄に良い笑顔だろうから、絶対に振り返ってやるもんか。
半分位になった煙草を一息に吸い込み、灰皿に力任せに押し付けた。
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