FINAL ACT

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『だから無理するなって言ったのに』 お兄ちゃんは溜息をつきながら、ベッドに寝ていた私へと心配そうな眼差しを向けた。 『たかが体育祭で、無理する必要なんかないだろ。倒れるまで、なに頑張ってんだって』 本当だ。私、なにやってんだろう。頭が、体が重い。気持ち悪い、体中が熱い。でもお兄ちゃんが応援してくれたから、負けたくなかった。お兄ちゃんに、頑張ってる私を見てもらいたかった。でも。 『……ごめん……なさ……い』 謝ると、困ったように眉を顰めながらも。 『負けず嫌いなのも考えものだな』 私の頭に手を当てる。 途端、あたたかくて、優しいぬくもりが体中を駆け巡て。 重い頭が、体が。 軽くなっていく。 燃えるような熱さが抜け。 心地良くなっていく。
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