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私__真雪春花は、週4日、レストランでホールのアルバイトをしている。ホールの仕事内容は、主に注文受付、配膳、後片づけだ。
レジはレジでまた別の部門として存在するので、私は今までも、恐らく今後も、自らレジ担当を希望しない限り、レジを任されることはないだろう。
日が暮れてくる午後4時、私はいつもどおり退勤の打刻をして、私服の花柄のワンピースに着替え、その上にニットのカーディガンに袖を通し、リュックを背負った。
「真雪さん、お疲れさまです!」
「お疲れさまです」
すれ違う先輩バイトに挨拶を返し、私は足早に店を出て、自転車に乗った。
今日は夏芽に「話したいことがあるから、出来れば早めに帰ってきてほしい」と言われていたからだ。
それにしても、夏芽の言う「話したいこと」とは何だろうか。ペダルを漕ぐスピードを上げた。
バイト先から自宅までは自転車で20分ほどなので、まあまあな距離といえば、まあまあな距離、かな、と私は思う。
「ただいま~」
家の鍵を開け、中に入ると、私の声を聴いたのか、妹が胸に飛び込んできた。
「ぅわあっーー!! もう、夏芽ったら、あぶないでしょ」
「春花、おかえりなさい! だって早く春花に話したくてわくわくドキドキしてたんだもの! ささ、早く、はやく~!!」
「わかった、わかった。後でちゃんと聞くから、部屋で宿題やってるか、リビングで待ってなさい」
「はーい! 宿題、終わったからリビングでお茶淹れて待ってるね♪」
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