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それから、女は毎週同じ時間に奥さんをお茶に呼び、自分のコレクションを自慢するようになった。価値を知らない奥さんが的外れな感想を言うのがおかしく、心の中で笑いながら、次々と作品の講釈を垂れ続けた。
「あの人、美人だけど、学はあまりないと思うのよ」
奥さんを呼んだ日の夜、女は夕飯を食べながら夫にその話をした。しかし、夫は聞く耳を持たない。ただ、興味なさそうにうなずくだけで、食事が終わると「明日も早いから」とすぐに寝てしまった。
次の日、近所の井戸端会議でもその話題を出してみた。ところが、やはり皆夫のように興味なさそうに聞き流すだけ。
「とはいっても、いい人だしねぇ」
「関係ないわよねぇ」
女の味方になってくれる者は誰もいなかった。
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