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数日後、届いたのは「絶対にシミがなくなる美容液」。やはり見た目は普通の美容液そのもので、容器の注意書きだけが目立った。女はとりあえず、用法・用量のとおりに美容液を使ってみた。
翌日、またしても効果はすぐに表れた。女の肌にあったシミの一部が、うっすらと消えていたのである。
「そんなことってあるのかしら」
女は驚いたが、効果が出たのは事実だった。女はそれからも毎日使い続け、シミはますます消えていった。さすがの夫も変化に気づき、「化粧でも変えたか?」と聞くほどだった。
そしていつものお茶会の日。向かいの奥さんはやはりすぐに反応した。
「あれ、またお綺麗になったんじゃありませんか…?」
「嬉しいこと言ってくれるじゃない。あなたは何でも気づくのね」
女は上機嫌で自分の美容論について語った。実際は美容液を使っているだけであったが、いかにして美を保つために努力しているか、工夫をしているか、ネットの情報を切り貼りして自分の美談であるかのように話した。向かいの奥さんはその話に嫌な顔も見せず、素直に驚きながら耳を傾け続けるのだった。
その日の夕方、女は再びサイトを検索した。
「今にあの女を超える若さを手に入れてみせるわ。そしてそのときには…」
女はほくそ笑みながら、画面に食い入るように品定めをした。そして、ようやく1つの商品を決めてクリックした。
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