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ところが、配達予定日になってもその商品は届かなかった。運送会社に問い合わせてみると、オペレーションのミスがあり、配達が遅れているとのこと。これでは、次のお茶会の日に間に合わなくなってしまう。女は電話口で怒りの声を上げ、オペレーターに詫びさせた。そして、しばらく交渉をした末、なんとかお茶会の当日には商品が届くことになった。
ピンポーン。その当日、問題なく商品は女の家へと届いた。女は急いで包みを開け、商品を取り出した。やはりそこにはいつもの注意書きがあった。しかし、もはや気にしている時間などない。
「あの女が来る前に、少しでも綺麗になっておかないと…」
女は大量に美容液を出し、一気に顔に塗りたくった。
昼過ぎ、いつもの時間に向かいの奥さんは家にやってきた。
「ごめんください」
ふふふ、今日はどんな反応をするだろう。女はインターホン越しに「すぐに開けるわね」と言い、小走りで玄関へと急いだ。ドアを開けると、そこには笑顔の奥さんが立っていた。
しかし、おかしなことが起こった。笑っていたはずの奥さんの顔が一瞬にして強ばり、固まった。そして、目を見開いて女の顔を二度、三度見返すと、大きな悲鳴をあげた。
「キャー!」
奥さんは逃げるようにしてその場を去っていった。その足は速く、女が「ちょっと」と声をかけても、とても間に合わなかった。
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