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この日は仕事で、新しく清史は車を買っていたため樹里と車で出勤をしていた。 「いつもありがとう♪今日も一日、お互いに頑張ろうね♡」と樹里が言うと「あっいえ…自分は、そんなことしか出来ないので…では、今日も一日頑張りましょうね」と言い、清史は優しく微笑んだあとキスをした。 この日は、雨がシトシトと降っていた。 最近、道隆が苛立っていたのが目に見えていたため誰も近寄らなかった。 どうやら奥さんに不倫がバレて、帰ってこなくなったと聡子がコッソリ教えてくれたが、自業自得だと思いながら樹里は仕事をしていた。 ふと売春婦殺人事件が気になり、今までの事件をまとめたファイルを資料室で読んでいた。 だいたい殺されていたのは、三十代女性ばかりで顔をメインに殴られていたことがわかった。 偶然なのか今回の事件は、土砂降りの雨の日で司郎が現れた日だった。 何となく胸騒ぎがしていると「こんなトコで、何してンの?」と道隆の声がし、樹里が恐る恐る振り向くと「最近、が出来たみてぇだな?」と言い、道隆はジリジリと樹里に近付いてきた。 「あっ‥あなたには、関係ないでしょ??」と言いながら、樹里はファイルを仕舞ってから後ずさりをすると「どの女と付き合ってきたけれど、お前が一番相性がいいンだよ。カミさんも帰って来ないし、俺と寄り戻せよ」と言うと、道隆は樹里の手首を掴むと抱き締めてから強引にキスをし、押し倒された。 樹里は泣きながら「やっ‥ヤメて‥ください…っ!」と言い抵抗をしたが、無理矢理犯されそうになっていると「何、やってンのかな?」と言う声がし、樹里がコッソリ見ると髪の毛をオールバックにしメガネを外した清史が立っていた。 それが司郎だとすぐにわかって、ドキドキしていると「チッ!」と舌打ちをし、その場から逃げて行った。 「小宮川さん!」と言い、樹里が泣きながら清史に抱きつくと「だっ大丈夫かぃ??」と言い、いつもの清史に戻っていた。 それでも嬉しくて、樹里は清史を抱き締めながら泣いていた。 その様子を道隆は、物凄い形相で樹里を睨みながら見つめていた。
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