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この日はシトシトと雨がパラついていて、ウンザリした顔をしながら帰り支度をしていた。 天気も相まって頭痛がしてきたため、寄り道をしないで帰ろうとすると「顔色悪いけれど、大丈夫か?送ろうか?」と道隆が言いながら、顔を覗き込んだ。 最近道隆に対して拒否反応をしてしまうため、樹里は慌てて逃げようとすると「待てよ」と言われ手首を掴まれ、資料室へと連れて行かれた。 「痛いっ!!」と言い、樹里が苦痛の表情をすると「カミさんと別れるからっ!頼むよ?お前じゃなきゃダメなんだよ…」と言いながら、抱き寄せた。 このとき初めてだと強く思い、突き飛ばして「もうこれっきりにしてください!!」と言うと「お前、泰蔵(アイツ)にでも抱かれたか?」と言いながら、道隆はニタリと笑った。 樹里は泰蔵を小馬鹿にされカチンとし、道隆に思いきりビンタをして「私達、もう終わりにしましょ?さようなら」と言うと「‥わかったよ…」と言いながら、道隆は資料室を出て行った。 安心感からか胸が苦しくなって泣いていると、たまたま通り掛かった女性警察官に慰められた。
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