転機

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その数日後、なんとかアップルパイの合格点を貰い、蓮見さんから店に出すお許しを頂いた。 ナナさんに試食して貰いながら、今後の事を相談する。 「ナナさん。考えたんだけど、、、メインバンクをこっちに替えて、融資を申し込もうと思ってるんだ。その手続きお願いしても良い?」 「勿論。だけど、必要か? 前も言ったけど、リノベの費用や、什器関係は持つよ。」 「もー。 まだ言ってる。其処はキチンとしたいんだ。ameno(アメーノ)は、おばぁちゃんが出資してくれたから、そういう面では苦労がなかった。 今度は全部自分でやりたいんだ。」 「シンガポールのおばぁちゃんだろ?お金持ちなんだな。」 「いや? 普通だよ。ただ、おじいちゃんの絵を何枚か売ったみたい。ソコソコ名前が売れてるから、買い手はすぐ見つかったらしいよ。孫にはホント甘いよね。 それに、あそこは元々レンガ倉庫だし、通りに面して無いだろ? 広さはあるけど、案外安いんだよ。」 「確かにな。ところで、ameno(アメーノ)はどうするんだ?」 「うん。前から譲って欲しいって言ってる人がいてね。居抜きで貸すことにしたよ。おばぁちゃんの手前売るのも気が引けるし、それに、あそこは気に入ってるから、手放したくないんだ。」 「それなら、担保に出来るかな。」 「宜しくお願いします。」 「分かったよ。」
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