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「ナナさん。 コーヒーが入ったよ。 一休みしよう。」
応接セットに、コーヒーを置いて、ソファに座る。
このソファは座りこごちが良い。
「ん。 ありがとう。」
「今日は、ブラジル。深煎りだけど、ほんのり甘味も有って、美味しいと思うんだ。この後の面接の時にもこれで行こうと思うけど、どうかな? 」
「良いと思う。 今日も美味いよ。」
「ありがと。 で、今日来る、高杉 史花さん?だっけ? どんな人? 」
「ん。 中学生の子持ちで37歳。事故で前の夫を亡くしている。職歴は、商工会議所で4年勤めて、その後は基本は専業主婦。だけど、毎年年末調整の時期に臨時で近くのスーパーで経理のパートで働いていたみたい。」
「ふぅーん。じゃ、案外即戦力になるのかな?」
「そうかもな。 でも、ココでは、事務処理だけでなく、電話の対応や、俺が外回りしている時の来客の対応もして貰う事になるから、接客的な部分でどうかな?って。 その辺、受け答えで感じた事なんかを書き留めておいて欲しいんだ。」
「了解。 そういう事ね。」
「言っとくけど、樹の紹介だからって、無条件で雇おうとは思ってない。 同じような境遇には同情するけど。 このリスタートは、絶対に成功させたいし、初めての仕事のパートナーだから、ちゃんと信頼関係を築いて行けそうな人を雇いたいと思ってるんだ。」
「正直なところ、僕は樹さんと関わって欲しくないと思ってるから、ちょっとだけモヤモヤしちゃうけど… 逆に厳しい目で見過ぎない様に注意するよ。」
「うん。 よろしく。それに、樹の事はもう気にするな。 … アキ。 こっち向いて。 … 愛してる。」
顔を向けると、頬に触れるだけのキスをくれた。
たまに、こういう事をするから、ナナさんは最高だ。
「僕も。大好きだよ!」
お返しに、口唇にキスをした。
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