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誓い
暫くして、全ての招待客が集まり、思いおもいの場所に座った頃、照明が控えめに落とされた。
「皆さん。お忙しい中お集まり頂き、誠に有難う御座います。この度は、このamenoの東京進出と言う事で、、、 」
アキから挨拶が始まった。
店のコンセプトや、どんな空間を目指して行きたいか、沢山の人達の協力への感謝などが述べられ、
「それでは、amenoの成功と更なる発展、そして、ここにいらっしゃる皆様方のご健勝をお祈りいたしまして乾杯を行いたいと思います。」
日向さんが、みんなにシャンパングラスを配ってくれる。
「カンパーイ!」
照明が明るくなり、ジャズが心地よいリズムを刻む。
次々と料理が運ばれて来て、その美しさと美味しさに、皆、目を輝かせていた。
あちこちで、楽しげな笑い声が聞こえてくる。
何処を見てもみんな幸せそうな笑顔だ。
良かった。
本当に良かった。
なんだか急に、この輝かしい場に、自分が不釣合いに感じて、アキを目で探す。
後で、片付けには来るからと、一言伝えて部屋へ帰ろうと思ったのだ。
その空気を察したのか、樹が近寄って来て、耳元で囁いた。
「春日。まだ、帰っちゃダメだ。これから重要な役目が待ってるよ。」
「は?何言って… 」
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