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こちらに向かって、アキが歩いてくる。
いつものギャルソンエプロンをしていない。
それどころか、スーツを着ている。
そんなんじゃ、料理がし難くないか?と思っていたら、突然俺の前で跪いた。
と、立ち竦んでいると、左手を取り手の甲にキスをした。
「ナナさん、僕と結婚してくれる?」
「えぇーっ⁈」
「はい!って言って。」
「は、い?」
気がつくと、みんなこちらに注目している。
ナニ?どういう事だ?
驚いていると、今度は、樹がみんなに向かって話し始める。
「これより、この2人、七尾 春日と雨野 秋成の結婚式を執り行います。」
いつのまにか、後ろに、史花さんが居て、俺とアキの胸に、小さな花束を刺してくれた。
「ご存知の方もいらっしゃるとおもいますが、この2人は前の街で、パートナーシップの宣誓をしておりました。しかし、それは各自治体によるもので、その効力は他には及びません。そして、残念な事に、ここの自治体にはその制度そのものが無いのです。日本でも、同性婚の可否は問われていますが、実現まではまだ遠いようです。 それまでの間、ここにいる皆んなで、2人を祝福し、応援しようではありませんか。この2人の愛を、神でも市長でも無く、ここにいる皆んなに宣誓してもらいましょう!」
樹は、俺たちに振り返った。
「では、春日、アキ。 君達は、お互いを人生のパートナーとして尊重し合い、これからの人生を助け合って行きていく事を、ここにいる皆さんに誓いますか?」
「「はい。誓います。」」
あたりは、盛大な拍手に包まれた。
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