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「では、指輪の授与です。 史花。」
史花さんが、リングピローを持ってきた。
驚き過ぎて、言葉が出ない。
「この指輪は、ここにいる皆様からのプレゼントです。 ですから、指輪の交換では無く、授与です。 因みに、このリングピローは、シンガポールにいる雨野さんのお祖母様が作って下さいました。 … 春日、アキ、おめでとう。 さ、お互いにはめてみて。」
薬指に、銀色が輝く。
「うわぁ。ぴったりだね。ナナさん!」
「あぁ。」
言葉の出ない俺の代わりに、アキが皆んなに向かってお礼を言う。
「皆んな、有難う!スゴく嬉しいです‼︎
そして、本日最後のサプライズ! 今日はナナさんの誕生日です! みんな、用意は良い? ナナさん、誕生日おめでとう‼︎‼︎」
パン!パン!パン!
一斉にクラッカーの音がした。
辺りが火薬の匂いに塗れる。
途端に、喉の奥が苦しくなり視界が歪む。
こんな時に泣きたく無いのに…
「ナナさん… 」
アキが肩を抱き寄せ、顔を覗き込んでくる。
「バカ。 コレは、クラッカーが目に沁みたんだ! 」
「ふふっ。クラッカーは沁みないよね? 」
スタンディングオベーションの中、触れるだけの優しい優しいキスをした。
〈了〉
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