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祖父が部屋から出て行った後、通帳の残高を見て驚いた。
父が高額の生命保険に入っていた為、それなりの額だとは予想していたが、賠償金も入っており、想像を遥かに超えた金額だった。
生涯収入より遥かに多い。
そして、祖父はその金に全く手を付けていなかった。
祖父の作ってくれた通帳には、毎月の賃金が入っていた。
毎年、新卒の平均賃金を時給に換算して計算していたらしい。
真面目な祖父らしいと思った。
いつも表情の少ない祖父が本当は、凄く優しい事を知っている。
工場で働かせる事も、友達も少なく、引き籠りがちだった俺が、悲しい事を考えて気持ちが膿まないようにとの気遣いだとばかり思っていた。
先立つ祖父が居なくなった後、俺が1人でも生きて行けるように考えてくれていたとは…
祖父の深い愛情を改めて感じた出来事だった。
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