ameno

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近くて見ると、更に美しく、フワッと良い香りがする。 髪はとても細くサラサラで艶があり、白い肌はキメの細かい陶器のよう。 引き寄せられる。 心が持っていかれる。 注文を受けて無理矢理自分をそこから引き剥がす。 カウンターに戻りオープンサンドと大人ココアを作り始める。 大人ココアは、僕の自信作。 目に留まって良かった。 テーブルに置くと、軽く手を合わせて食べ始める。 食べる所作がまた美しい。 目が離せなくなった。 そこだけ切り取ったように輝いて見える。 まさか、これって一目惚れ? 散々遊んで来たこの僕が? 漆黒の天使が、「はっ」と目を見開いて僕の方を見る。 ココアの仕掛けに気が付いたみたいだ。 「分かりました?隠し味」 聞いてみると、ポツポツと正確に感じた味を話す。 中々分からないのに…… スゴイ。 心が急速に惹かれて行くのを止められなかった。 帰り際、なんとかきっかけを作りたくて、ショップカードを渡した。
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