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余りの驚きに、自然と数歩後ずさる。
アキに抱き付く女と目が合う。
女は春日に気がつくと、ニヤリと笑った様に見えた。
身体中の血液が一気に逆流する様な気持ち悪さと共に、頭が急速に凍る。
氷水を頭からかけられたかの様な具合に、カタカタと震えが来た。
書類が手から離れて、床にぶつかり、カサリと音を立てる。
アキが物音に気付いて振り返ろうする前に、春日は、走りだしていた。
店の扉を開いて外に駆け出ると、雨は本降りになっていた。
冷たい雨に濡れるのも構わずに、纏わり付く何かを振り切るためだけに、あても無くただひたすらに走った。
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