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「分かりました? 隠し味」
俺は舌で感じた味を一つ一つ答える。
「凄い!! 実は以外と皆さん分からないんですよ。塩味は特に」
「いや。美味い。こんなココアは初めてだよ。気に入った。この街が好きになりそうだ」
「…?? この街は初めて?旅行で?」
「仕事で来たんだ。今日着いた。何年居られるかは分からないけど」
「そうですか。どの季節も美しい街ですよ。水も食べ物も美味しいし。僕もこの街に惚れ込んだ一人なんです。出身は神奈川なんですよ」
そう言って、マスターは一度カウンターに戻り、小さなカードを持ってきた。
カードには、『ameno 雨野 秋成』とあり、「イタリア語で心地よいって意味のアメーノと僕の名前をかけてるんです」と少しはにかみながら説明してくれる。
確かにこの店は、空間も、料理も、マスターも、そしてマスターの声や話し方までもとても心地良い。
「夜はお酒も出してるんですよ。是非また遊びに来て下さいね」
ふわりとした笑顔に心がほぐれる。
それからというもの、時間を見つけては、「ameno」通うようになった。
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