アキの傷

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それからの僕はサイアクだった。 誰にも取られたくなくて、劣情をナナさんにぶつけた。 何よりも大切な、ナナさんに…… 僕の過去の恋愛は、クソだ。 正に、「来るもの拒まず、去る者追わず」だ。 正直、女は勿論、男にもそれなりにモテた。 この国では、この見た目は珍しいんだろうと思う。 珍しくて、見目好いものを、自分のものにしたいのは、ブランド物やアクセサリーで装飾するのとそう変わらないんだろうなという感覚。 恋人が出来ても、いつも何処か冷めていて、この人もきっと飽きたら去っていくだろうと、いつも終わりを考えながら付き合っていた。 大学4年の秋。 当時付き合ってた彼女が、子供が出来たと言ってきたんだ。 そんなはず無い、と思った。 夏以降、何となく疎遠になっていたし、その前だって避妊はしてた。 半信半疑だったが、やる事はやってるし、諦めて卒業と同時に結婚する事にした。 別に嫌いだった訳じゃない。 ただ、一生を共にしたいと思える程、執着も無かった。 だけど、こんな僕が執着したいと思えるような相手なんて、これからも現れないとも思ったから、彼女が望むなら、それもいいかって言う程度の事。
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