2258人が本棚に入れています
本棚に追加
/143ページ
それからの僕はサイアクだった。
誰にも取られたくなくて、劣情をナナさんにぶつけた。
何よりも大切な、ナナさんに……
僕の過去の恋愛は、クソだ。
正に、「来るもの拒まず、去る者追わず」だ。
正直、女は勿論、男にもそれなりにモテた。
この国では、この見た目は珍しいんだろうと思う。
珍しくて、見目好いものを、自分のものにしたいのは、ブランド物やアクセサリーで装飾するのとそう変わらないんだろうなという感覚。
恋人が出来ても、いつも何処か冷めていて、この人もきっと飽きたら去っていくだろうと、いつも終わりを考えながら付き合っていた。
大学4年の秋。
当時付き合ってた彼女が、子供が出来たと言ってきたんだ。
そんなはず無い、と思った。
夏以降、何となく疎遠になっていたし、その前だって避妊はしてた。
半信半疑だったが、やる事はやってるし、諦めて卒業と同時に結婚する事にした。
別に嫌いだった訳じゃない。
ただ、一生を共にしたいと思える程、執着も無かった。
だけど、こんな僕が執着したいと思えるような相手なんて、これからも現れないとも思ったから、彼女が望むなら、それもいいかって言う程度の事。
最初のコメントを投稿しよう!