絆 ⁂

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絆 ⁂

俺たちは、結局最後までしなかった。 アキとの関係が変にこじれなくて済んだ事に安堵して、美味いワインを飲み過ぎた。 アキも、俺が、樹との決別を勝ち取るまで待つと言った。 でも、長く我慢出来ないから、早めにしてね、とも。 2人でアキのベットに入る。 「今日は、色んなことあり過ぎたよね」 「だな。少し疲れた」 「そうだね。でも、僕は後で振り返っても後悔しない日に出来た。ナナさん、ありがと」 「元々、俺の案件だろ」 「案件って… 」 「俺の方こそありがとう。こんな面倒くさい俺を見捨てないでいてくれて。それに、あのワイン仕入れてくれたんだろ」 「うん。前にイタリアンレストランで飲んだ時、気に入ってたみたいだし。僕も飲んで美味しいと思った。値段も案外手頃だったから、店に置くことにしたんだ」 「アキは、またそうやって俺の心地良い事ばかりして、甘やかす。シロップ漬けになりそうだ」 「良いね!それ。 ワインもチーズも熟睡されて美味しくなるから、ナナさんもきっと美味しくなるね」 「なんだよ。それ」 「ねぇ。ナナさん。… 熟成度合いを確かめたいから、、、ちょっとだけ味見しても、良い?」 笑がもれた。 上手い事を言うものだ。 アキの頭を引き寄せて、口唇を合わせた。
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