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悪夢 ⁂
ナナさんが、心配だ。
腕の中で、眉間に皺を寄せ、硬い表情で眠る姿を眺めながら思う。
家族を一変に無くしたナナさんの心の闇は、相当深いものだろう。
おじいさんや、工場の人達の支えで傷を癒したに違いないのに。
こんな風に掻き乱すなんて、本当に神様は意地悪すぎる。
きっと、ナナさんは、史花さんの気持ちや苦労が解るからこそ、切り捨てる事に躊躇している。
だから、辛いんだ。
僕なら、関わりを持たない方を選ぶけど、この人はそうじゃない。
切り捨てたら、また、その事で傷付く。
真っ直ぐで、繊細で、… 嫌になる程優しい。
だから僕が守ってあげないと。
壊れてしまわないように。
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