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パートナーシップ
それから、約一年をかけて、独立の為の準備をする事にした。
一年有れば、仕事の方もしっかり引き継いで行けるだろうとの配慮も有ったからだ。
最初の契約は、〔ameno〕。
経理全般を引受ける事にした。
いつものように、アフターシェイブローションは、「4711 ポーチュガル」でキメる。
使い始めは、スウィートオレンジの爽やかな香りで、ラストノートにはムスクが残る。
父も、祖父も、愛用していたものだ。
使い始めた20代初めの頃は少し背伸びに感じたが、今では、しっくり馴染んでると思う。
そして今日は休日の火曜日だが、スーツに腕を通す。
俺の胸に刺さっている万年筆は、アキと揃いの物だ。
あの、始めて身体を繋げた夜、アキが贈ってくれたのだ。
かなり高価なものだが、結婚指輪の代わりに成り得るもので、更に日常的に使えてかつ実用性のあるもの、と考えてくれたようだ。
それから、俺は、毎日の仕事に使っているし、アキも、注文を書き留める時に使用している。
今日は、大切な書類にサインをする日だ。
スーツの上から、その感触を確かめた。
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