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「確かに」
「口に出したくもない近づきたくもないはずの精鋭塾なのにどうして娘さんのことを知っていたのか…… 何らかの手段で自分の娘がいることは知っていたって流れになるよね。もう何らかの手段って言うのはどうでもいい問題だけどね」
そこまで言った後、参道求は東野尚子を見た。
「先ほど、夫の趣味を理解すると言ってましたね。それに便乗してあなたも生徒さんに手を出していた! 違いますか?」
東野尚子は黙り込んでいた。
「でも普通こんなことされたら断るし抵抗する、誰かに相談だってするかも知れない。だけど。それでも生徒たちに通すための魔法があった」
「裏口入学」
「そういうことだよ、自分の体を捧げる事によって自分の成績では到底行けないような学校への入学の道が開ける。これで自分を殺した生徒たちがどれだけいたことやら。しかしそれに耐えきれずに小濱くんみたいに辞めた奴もいる。」
「ちょっといいかしら」
白衣の女性が挙手をしながら言った。しかし、この女性もいきなり部屋に来たらこんなハードな話を聞かされて不幸と言うものである。
「途中参加でアレなんだけど、これと殺人事件にどんな関係が? 仮にこの話が本当だとしても塾長を殺す理由とは無関係よね?」
「そこでこれだよ」
参道求は先程出したDNA鑑定の紙を出した。最後に出した小濱照史と東野水輝との血縁関係を示す一枚の紙であった。
「東野水樹は東野正明とは一切血の繋がりが無かった。こうなったら手を出しても不思議じゃないんじゃないかな?」
「でも塾長は少年愛者……」
「塾長の個人指導…… 男子ばっかりだったんだろうね」
「いえ、ここ数年は女子も受けてたみたいですよ」
「これ本当?」
「はい、この塾に通ってた先輩がこれで名門私立高校に合格してますから」
岡田俊行は茂部紗子との会話を思い出していた。
「まさか女子にも手を出すようになっていたのか!」
「彼女以外にも確認を取る必要があるだろうけど、女子にも個人指導をやっていたのは間違いないみたいだ」
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