ガニメデスの庭園

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ガニメデスの庭園

「では、本日の授業はこれで終わり!」 大学生のアルバイトと思しき若い塾講師が言うと同時にそこにいた30人程の塾生が一斉に立ち上がる。 「次の授業までに予習復習を欠かさないこと!」 それだけ言って若い塾講師は教室から出て行った。それに付いていくかのように半分以上の塾生も教室の外に出る。残り半分の塾生は教室に残りそれぞれ雑談を交わしていた。 「この前の模試どうだった?」 「A判定余裕っしょ」 「いきなり皆判定上がったよね、俺もこの前までBだったのが急にA判定に変わったんだよ」 「一生懸命頑張ったって事じゃないの?」 「違うんだよ、この前と点数あまり変わらないんだよ」 「もしかして、伊藤雄二くんが死んだおかげ?」 「そうかもなぁ、あいつなんで中京区のデカい予備校に行かないのか疑問なぐらい頭良かったからなぁ。全国10位以内なのにこんな田舎塾に通ってるんだぜ…… 俺たちみたいな普通の成績の奴らに取っては凄い迷惑だったんだよ」 「伊藤くんが地獄用務員に殺されたおかげであいつが志望してたとこのハードル大分下がったらしいよ」 「地獄用務員様様だよ」 「不謹慎だけどそう言いたくなるわね」 「しかし学校の用務員に殺されるなんてどんな悪いことしてたんだよ。真面目そうに見えて裏はエグかったのかな」 「知らない? もう一人殺された女の子の母親の市議会議員が黒幕らしいよ。まとめサイトでみた」 「おいおいまとめサイトなんて面白そうな情報選別してるだけなんだから信用するなよ」 「ははは、違いない」 「話変わるけど塾長の個人指導って受けた事あるか?」 「あたしはないけど」 「俺もない」 「この塾で成績上位だと受けられるらしいけど、お呼びがかからないんだよね」 「模試が近いって言う時でも塾長夫人や塾長の娘の個人指導しかやらないんだよね」 「確かにこの二人の個人指導は受けたことあるな。特に娘さんのは流石中帝大(中京帝国大学)なせいか何聞いてもわかりやすいんだよ」 「塾長の個人指導は決まって最上階の指導室でやるんでしょ?」
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