ガニメデスの庭園

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事件は7月の30日の夜に発生。夜とは時間が曖昧であったが後で初動捜査の刑事かいつもの科捜研に聞けばいいと思った。30日の夜8時頃、塾長の娘、水輝(講師兼事務員)が塾長の姿が見えない事を不審に思い探し始める、夜の9時頃に最上階5階の指導室の鍵がかかっている事に気づく、一緒に探していた男性講師に頼んで玄関前で最後まで残っていた塾生二人の見送りをしていた母親の尚子(英語講師、塾長の妻)に鍵が開いていない事を報告。その後、三人で指導室のドアをいくらノックしても反応が無いので男性講師の力でドアを破る事を決意。鍵のかかったドアを蹴破ったところ血まみれの塾長を発見。全員気が動転する中、最後に残った塾生を待っていたバスの運転手が様子を見に来たところこの惨状の為に即通報。発見から通報まで10分も無かったと思われる。これが発見までの流れであった。 その次のページからは死体の状態が事細かに書いてあったがあまり読みたいものでは無かった。そこに挟んであった遺体写真を見ただけで吐き気を催すぐらいであった。 「稲葉の言った通りこりゃ血の池地獄だ」 こう呟いて岡田俊行はファイルを一旦閉じた。それと同時に渡辺警部が話しかけてきた。 「今日は被害者の通夜があるから行ってきたらどうだ?」 ちょっと散歩行って来いと言ったような軽い口調であった。警察官であればこの手の葬儀に出ることは慣れているのだろう。 「密室殺人が気になるのは分かるが犯人かもしれない奴らが集まるところに(ツラ)ァだすのも大事だぞ」 今回の容疑者は塾にいた全員であった。真っ先に閃いたのは塾生の誰かが厳しい授業に耐えかねて……  と、言うことであった。
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