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鶴松
何を持って世継ぎと言うのか?その感覚が…欠如した様に思ってしまった。臣下や、子守りは居ても、このしろの中に友達は居ない。産まれた時から、それが当たり前だった。
「若君の様子がおかしい?何を子守りは慌てておるやら?今はそれどころではないと言うのに…。」
父上が…二条城での会見を終えて城の中が慌ただしい!大阪城の奥向きは、淀殿の支配下にある。鶴松は、長男ではあるが…正式な跡取りではまだない!!正室千姫との間に子供が居ないので…事実上跡取りである。
コロン、から、から、カラ タタタタタタ〰️。
「なぁ、これ何?お城の中に沢山おるのに…みんな気付いてへんの。」
好奇心旺盛なこの子は奈阿姫と言う、後の世に天秀尼ともう一つの名前を授かる豊臣秀頼の娘だった。
平穏そのものの城に、戦争の影が射し始めている。
「しっ、あんまりおかしな事は、言わない方がよろしい。父上は忙しいのだから。」
鶴松のお叱りも最もだけど、話し相手は沢山欲しい。鶴松にこっそり逢いにきた何かが居たこと、おば様に喋ってしまおうと企む奈阿であった。
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