大阪城

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大阪城

局地戦を含め、戦局は少し籠城側にまだ有利な感じであった。本当にそうだろうか?籠城戦と決まった途端、二人の武将は、忌々しげに作戦会議の席を蹴った。 「御大が、城に立て籠っては意味がごさらん!」 後藤基次、真田信繁が声を大にして話す言葉を、実績に乏しいと無視したのでは無い。開戦の火蓋を切らされた以上、大将として秀頼は全員の意見を聴こうとしてはいたのに…。大将であるのに…経験が無いとして経験豊な曲者に翻弄されてしまっていた。 「籠城して、勝った者等居ない!」 会議は割れ、双方刀に手をかける始末…基次などは座を蹴飛ばして荒くれ者のそしりを受けた。秀頼の為だけに戦おうとする者は、この城に何人いるのだろうか?秀頼は全員を守ろうと必死ではある。父の栄光は物凄く邪魔になっていた。秀吉は、籠城させた事はあっても、籠城した事は無いこと、重々わかっている。豊臣の栄光は切り崩すしか無いのだろうか? 「どうした?このような場所に来てはいかんぞ。」 この城に異変が起きて居たことを誰も開戦のどさくさで、気に留めていない!そのような余裕は何処にもなかった。 「父上、お城の中におかしなものが居ると言うので、捜しに行こうと思ったのですが…。」 鶴松がそう答えると、秀頼は少し笑って子守りは何をしているのか?と思った。例え城の中であっても、豊臣の御曹司が一人でうろちょろしている等とは有り得ない事であった。異変はそれだけではなかったが、剛毅なお姫様をだけがその事を感じていた。
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