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不吉な占い
殆ど、知っている人間しか居ない世界に生きていた。子守りやら、身の回りの女性達やらしか知らない。奥向きで知らない人間がいたら?不思議に思うのが当たり前では無かろうか?でもそのおかしな人間が、ずっと城の中に存在しているとしたら…産まれた時から閉じ込められているとしたら…
「なぁ、あれって何なん?」
流石に聞く事出来ず。答えてくれそうな誰かを捜せば…途方に暮れてしまう。大砲が打ち込まれて大騒ぎの大阪城で誰ももののけの存在などにかまって居られないのだった。
「喋ったら、あんた喰われるよ。黙っとき。」
休戦協定の間に、何人か雇われた同じ年頃の子どもの一人だったと思う。不思議な事に、その子が直接話かけても、誰も気がついて居ない。
「えっ?喰われる?」
どうやって?は、さておき直接話かけてきたこの子は何者?奈阿には、不思議な事ばかり起きている。
「しっ、あんまり大きな声ださんとき!また後でな!」
あっさり何人かの列の中に入ると、知らない顔をして去って行く。あれっ私あの子に逢うのって…今は休戦協定の申し入れを…しようとしている段階ではなかったか?慌てた子守りが、やっと自分を捜しに来たのは、だいぶたってからだった。なんでこんな事わかってしまうんやろう?なんだか怖い。
「姫様!大丈夫でございますか?」
兵士がいる場所に迷い込んでいる。初めて見た。殺伐とした光景、大砲が打ち込まれ何で此処に来たんやろう?何処に行こうとしたんやろう?さっきの女の子は誰やったんやろう?
「大丈夫…何でもない!!何でもない!!」
急いで安全な場所に…安全な場所何てあるんだろうか?兵士がいると言っても…どうやら傷病兵が…置かれている場所らしい。あちらこちらでうめき声がする。血まみれの手が姫の袖をつかんでいた。何かを伝え様とする様に恐ろしい力で姫が引き摺られて行く…
意味がわからない!
「何?いったい何?何?」
多分悲鳴を上げたんだと思う。目が覚めたら…心配そうな乳母がいた。
「誰?!」
祈祷を呼ぼうと乳母が慌て始める。この頃、大阪城には、様々な祈祷師が呼ばれていた。
「大丈夫!何でもない!」
乳母がある名前を出すと、婢が
「その方は、二条城の会見について不吉な占いをしたとして…出されてしまいましたけど?」
そんな会話が聞こえてしまった。姫は慌てて鏡を見た。自分の後ろに尼僧の姿があった。
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