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鬼女伝説
おっかな橋を訪れたのは…ただの度胸だめし。鬼女伝説の橋と言うのは聞いたつもり、だが本来、最大限苦手なモノを克服しなければ…武人としてやっていけないのではとは深刻に悩んだ。どうにも、人前であの苦手を吹聴されたのが、腹立たしい。誤解されたのが、もっと腹立たしい!
「何してるの?」
人気の気配が全くないのに、後ろから話かけられた。もう駄目ですはい…無様宜しく悲鳴は飲み込んだが…振り向く勇気が、女性の声と立ち昇る香の清々しい香りでやっと出た。
「あれ?ここは何処?」
鬼女伝説の橋に来たんだぞ?何で屋敷の中なんだろうか?しかも凄い何処か?だけど知っているかも?何度も来ている感覚がある。
「ここはマヨイガと言う所らしいわ?貴方、姿が無いと苦手らしいから…此処でお話を聞いて欲しいと頼まれたの。」
また少し苦手そうに成るが何とか耐える。相手に悪意の無い事は、直感している。
「名前を聞いても宜しいか?私はダテシゲザネと言う武者修行中の身、踏みとどまらせた理由を知りたいのです。今此処に、コピーするつまり分身を置く必要がありますから。」
違和感は消せないが…話相手が居るのはホッとする。けど今のは俺?でもコピーって複製するって事だよね?
「テンシュウニとでも言えば良いの?アオオニ見付けたのにさっぱり喋ってくれへんの?きっと何か言葉が足らんのと違う?ここは人形しか居ないから…ホッとした。」
一人しか見えて無いのに女が沢山いる?俺、首を取られたのにびくびく動く蛇が駄目何ですけど…?同じ理由で動くとかげのしっぽも…逃げ出しそうな己の心を、深刻な話じゃ無いかと思う自分の勘が踏みとどまらせていた。人形しか居ない?どういう意味だろうか?
「鬼女伝説の橋で武者修行するつもりだったが、予定変更だ!シゲザネついて参れ!」
まだ何か居るんですか?…何か有るんだろうか?もしかして鬼女が練兵しているとか?シゲザネの勘は結構鋭い!
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