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橋に潜む二人組
「ちょっと!ちょっと!あのお化けどうしたのよ!私バクッと喰われた訳じゃなかったの?シゲザネがどうとか練兵とかってなに?」
左門は指で、口を閉じるよう菊に指示した。
「あれは、前鬼では出来あがって無いんだ…。繋がって無いんだ…だから、分身を置く必要がある。そう思ったんだが……使い捨てにしたくはなくなった。カシンが全て封じているその根本がわからんのだ。」
菊にも投げ落とされた感覚がある。全く意味がわからない?いったい何回死んだやら…その根本をカシンが封じていると言うのだ。誰と何を共有しているのだろうか?
「あの武者修行もっと色々繋げてるんじゃない?物語の内容は何よ?私が知っているのと、違っているかも知れないじゃないの?」
菊は、左門とすり合わせをおこなって見た。これが心証風景だとすればいったいこの建物は何処なのだろう?
「あのプレートに書かれたのは…大阪の陣と関係があるのではなかろうか?あの頭は何処から時代を遡って来たんだ?いやもしかして下っているのか?」
「確か物語は…、二つあったわね?どちらが先かは?わかるよね?」
わかってはいるが…我々の知らないもっと先の物語を誰かが掴んで居たら…そう左門は考える。
「その前は?記録された確実な事実があるのでは無いか?それで無くてはカシンを出し抜く事は出来んぞ!」
何でカシンを出し抜く?のかはわかって居ない様子だった。
「やっぱり、カンシの陽動に引っ掛かってたって訳ね?カンシでは無くておっかな橋には、鬼女が付き物でしょ?清水寺と関係ある人間を探って行けば出し抜く何て簡単なのよ!カシンの知られたく無い事は別だと思うわね?陽動に引っ掛かって道具にされた法印よりましだけどね…。」
蜘蛛の糸を手繰り寄せる様に、カンシは橋に誘導しているのか?人間を道具にしたつもりはない!
「あれは人間を道具になどしない!人間が身勝手な物語を勝手に書いただけだ!自らの闇に飲み込まれたんだ…。あんなもの助けられるか…。」
ああやっぱり左門の中にもうつけの一部が入っている。たぶん鬼繋がりだと菊は確信した。ただここから出る方法がわからなかった。おっかな橋の中に自分達を封じた存在がテンシュウニなら、大阪の陣の最中のはずはない。生き残りをかけた相手は人間の筈では
無いのか?
「まだ人間?もう人間?だけど…鬼にされた人間って言う訳ではないわよね?」
これがあったから…鬼になった。カシンは鬼と成りましたとさ。
メデタシ メデタシ
何かが狂っているのは確実らしい。菊と左門は、この原因を突き止めなければ、コピーのまま閉じ込められかねない?
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