遊戯感覚

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遊戯感覚

竹千代の異常を見過ごしては居ないが…大丈夫だろうと思う根拠は何処から来たのか?人であって人ではない姿とはどんなものか? 「戦場に連れて行ったとしても、弾除けにも成らんぞ!」 御霊だけ抜き取れる何て、迷惑なことを信じた馬鹿の記憶が残っている。今はカンシだがもう一つ思い出せそうな気がする。もっと先の断片が…前鬼の中にある。 オレニハナマエシカナイ? 「なぁおかね、何で俺は名前しかないんだろうな?名前は呪の根本なんだろう?」 人間の器に入れられた怪物?それはカンシの認識だった。 「名前だけ覚えていたなら上等じゃないの?あんたは愛情をもらった証拠でしょう…。」 おかねの返事に、大あくびを返すと 「俺は今、足柄か?それなら於福様に竹千代の様子を聞くとしようと思う。竹千代からこんな物もらったから…礼ぐらいしないとな?」 おかねは、少し怪訝な顔をする。 「竹千代君からこれをもらったのかい?じゃ竹千代君は誰からこれ貰ったんだろうね?江戸城で拾ったんじゃ無いだろうね?」 命のやり取りも何処か遊戯感覚の前、遊戯感覚で戦に行く事を心待にしていたその相手を、おかねは何故か知っていた。忠告も無視して行けばどんな目に会うか?但し其所に病弱と言う理由が一つ重ねられている事に、今おかねが勘づきはじめている。 病弱な竹千代が机の上で大阪城攻略を始めたらそれこそゲームの感覚でしかないのでは…前鬼はその相手をしているのではなかろうか? まさか母親のお腹に16年いた記憶が…追加されて居たりして…。 「家光はどうも生きるも死ぬもゲーム感覚しかないので厄介なんだよ。」 男の要求を渋々飲むのはいつもの前だけど…もっと何かあるらしい。
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