7人が本棚に入れています
本棚に追加
─────。
「ひーめさまっ♪」
「…また貴女ですか。」
「うん♪」
「…何のご用ですか?」
「僕、『完璧』かな?」
「…いいえ。程遠いですわ。」
「そう…なら良かった♪」
「それより…警察のご厄介になるなんて、何をなさったのですか?
…先日、白百合家からも勘当を言い渡されたと伺いましたが。」
「何も♪」
「火の無いところに煙は立たないと言います。…何もなさっていなかったとしても、疑われた時点で罪を犯したのと同じですわ。」
「…ふふっ、そうだね♪」
「…。」
お姫様が「用はそれだけか」みたいな目で僕を見る。
「…じゃあ、またね♪」
跪いて、お姫様の手を取って口付ける。
「…ごきげんよう。」
…もう、僕にはあの子しかいなくなってしまった。
…いや、最初からあの子しかいなかったのかも知れない。
…彼女だけが…『野薔薇 姫』だけが。僕を…『白百合 王子』を変わらずずっと見続けてくれていたのだから。
最初のコメントを投稿しよう!