春休み(後)

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…2008年、4月1日。…105号室。 ──前の部屋と、間取りも何も変わらない。 …けれど、全く別の部屋。 壁に穴が空いていなければ…レイも雅も住んでいない。…ボクだけの部屋。 「…。」 穴の空いていない壁に触れて、暫く感傷に浸る…。 「…皇?」 直ぐそこ、手を伸ばせば触れられそうな距離で聞こえるレイの声。 「…うん♪いるよ。」 「…この壁、消して良い?」 「ふふ…♪駄・目☆入って来るなら、普通に。ドアからね?」 「…落ち着かない。」 「…うん。少しだけね。」 「…何か、寂しい。」 「…そうだね。…少し、寂しいね…。」 「…そっち、行く。」 「うん、分かった♪」 …壁に空いた穴のように。 …もしかしたら、こうじゃなかった方が幸せだったかも知れない。 …もしかしたら、これは間違いなのかも知れない。何時か…「正しく」ならなきゃいけないのかも知れない。 …けれどボクは、間違いだからって否定する気にもなれなくて。 寧ろ…愛おしいとすら思ってしまう。 …これは─そんなボクらの物語。 何時かは消えてしまう、「幸せ」では無いかも知れないけれど…楽しい。そんな、日常の話…♪
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