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白百合邸…馬小屋。
「…よしよし。我らのご主人は多忙であらせられるな。」
ブラシでリリィ殿の毛を梳いて行く。…白く、実に美しい毛並みだ。
「〇、××」
「ん?」
一度頷き、ブンブンと首を振られるリリィ殿。
「…それだけでは無い、と言うことか?」
「~♪」
某がそう尋ねると、嬉しそうに鳴き声を上げるリリィ殿。…やはり、人語を理解しておられるようだ。
「~…♪」
リリィ殿は空を見上げておられる。
「…ふむ。」
…思えば、何を思うことも無く…こうしてただ空を見上げると言うのは初めてのことだ。
…これも、中々悪くない…。
「…なあリリィ殿。
某は…どうすれば良かったのだろう?」
今は主である白百合 皇と姉上に従ってはいるが…某に取っては、竜胆の里の人々も家族であり、絶対に背いてはならない主だった。
「~?」
首を傾げるように、真逆の方向を向くリリィ殿。…某にはそれが、『馬に聞くな』と言っているように見えた。
「フフ…♪…然り、だな…。」
そも、人に聞くようなことですら無かっただろう。
…もしかすれば、誰に聞いたところで「解らない」と言ったような回答しか得られないような…そんな問いだ。
…それでも、あの2人であれば。
某が思うようにすれば良い、とでも言うのだろう。
「…。」
…今度、2人を誘って里帰りでもするとしようか?(と言っても、今あの場所に残っているのは『危険区域』とやらだけらしいが。)
「…。」
…否。この考えこそ、某が出した答えなのだろう。
…つまり、許して欲しいと思っているのだ。
家族の怨念を、無念を…。背負うのを止めようと…。
「…。」
…それは、正しいことなのか…?
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