第十二章 可愛いひと

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「哲ちゃん?! どうしてこんな時間に外にいるの?」  さくらも相当動揺しているのか、いつもより早口だ。二人の背後にいたのは、背丈は新太とあまりかわらない少年。その面差しはどこかさくらに似ていて、なかなかの男前だ。彼は楽しげな表情でちかづいてきた。 「暑いからジュースとアイスを買いに、そこのコンビニまでいった帰り」  そういって買い物をしたビニール袋に視線を落としたあと、彼は二人をみてにやりと笑った。 「ついでに、ねえちゃんその辺にいないか見てこいって母さんにいわれたんだけど、イケメンと家の前でイチャついてたって報告しなきゃ」  さくらが慌てたように口を開いた。 「な、なにいってるの、もう! えっとね新太くん、このこは弟の哲人。高校一年なの。で、哲ちゃん、彼は山谷新太くん。えーと……つきあっている彼」  つきあっている彼。さくらの口から出たその言葉に、新太のテンションはあがる。緩みそうになる口許を必死で引き締めて口を開く。 「どうも。山谷新太です」  まじめくさって挨拶をしてみたけれど、哲人はまじまじと新太の顔をみたあと、あっ、と呟いたまま何も言わない。 「哲ちゃん、どうしたの? ちゃんと挨拶し……」 「もしかして……ARATA?」  さくらの弟が自分を知っている。ちょっと不思議な感じがして苦笑しながら頷いた。 「ヤッパリ! どこかで見たことがあるって思ったけど、名前聞いてピンときました。やばっ……本物だ! ARATAさんのプレイ、動画サイトでいつもみてます。めっちゃかっこいいです。ほんとあれは真似したくてもできない」
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