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興奮している弟の様子をみていたさくらが、口を開いた。
「もしかして、哲ちゃんがいつもやってるゲームって格闘ゲームだったの?」
その言葉に哲人は呆れたように瞳を見開いた。
「他のもやるけど、メインは格ゲー。ねえちゃんさ、彼氏が格ゲーの有名ゲーマーなのに俺がやってるゲームがわかんないって、やばくね?」
新太は思わず吹き出してしまう。
「う、うるさいなあ。仕方ないでしょ。ゲーム、やったことないんだから。でも哲ちゃんまで新太くんのことを知ってたなんてびっくり」
「格ゲー、やりこんでいる奴なら、みんな知ってるよ」
「新太くん、ヤッパリ有名なんだね」
さくらが感心したように新太をみてくるから、照れてしまう。
「ゲーマーにちょっと知られているくらいだよ」
その言葉に、哲人ばぶんぶんと首を横に振った。
「ちょっと、どこじゃないですよ。超有名ですよ。だけどリアルで会うとARATAさんってイメージ違いますね。ゲームをしているときはめっちゃクールなのに、こうして実際あうと優しいお兄さんって感じ」
哲人がワクワクした感じでそういう。
「俺、プレイしてるとき、そんなに怖い顔をしているのかなあ。さくらさんにも言われたけど」
自分では実感がない新太は頭を掻いた。
「怖いっていうより、すごく集中している感じが、クールにみえるんだとおもう」
さくらが真面目にそういうと、哲人が頷いた。
「ねえちゃん、ゲームのことは知らなくても、ARATAさんのことはよくわかってるなあ。しかもすごく楽しそうだし。今までの彼氏といる時と、表情が全然違う」
何気ない哲人の言葉がその場の空気を変える。
「えっ!」
新太とさくらが、同時に叫ぶ。
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