第十三章 予感

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「えーと、ゼミの?」  勢いに押されていき、なぜか疑問形で答えてしまう。 「ゼミ……あの三井って人もくるんですよね」  新太の表情がどんよりと曇ってきたから、慌てて言葉をつなぐ。 「三井くんもゼミ生だから来るよ。でもそんな顔しないで。三井くんはただ一緒に勉強しているだけで、本当に何でもないから」   「……」  新太の顔を覗きこむ。嫉妬してくれている年下の彼はご機嫌ななめだけれど、なんだか微笑ましくて口元が緩んでしまう。  前髪をあげている新太はいつもよりおとなっぽい。不機嫌なその表情にも色気を感じてしまうくらい。新太は大きく息を吐いてから、自嘲するよう笑った。 「ごめんなさい。さくらさんを信用していない訳じゃないし、ずっと側に居られないのは俺の都合だし。拗ねたって仕方ないってわかってはいるんだけど」  目を伏せた新太の手を、さくらは思わずそっと掴んでいた。 「毎日、メッセージ送るから。一日の出来事とか。海外でも見れるよね?」  眩しいものをみるように目を細めてさくらをみつめ、照れたように手を握り返してくる。 「見れますよ。俺も送ります」  ちょうどその時だった。すぐ背後に誰かが立つ気配がして、二人で後ろを振り返る。新太よりもかなり年上の、スーツ姿の男性がコーヒーをもって立っていた。彼は新太をみて微笑んだ。 「新太じゃん。お前もここにいたの?」 「大介さん? びっくりした。お疲れさまです」
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