第十三章 予感

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 新太もペコリと頭をさげる。大介と呼ばれた男は、目尻をちょっとさげるような親しみやすい笑みを浮かべて頷いた。 「新太もミーティングだよな?」  彼の親指がスポンサー会社のビルがある方向を差す。 「あ、はい。一時からですよね」 「広報の高柳さん、時間にうるさいだろ。早く来てここでコーヒー飲んで時間調整してたんだ。なに、新太はもしかしてデート?」  そういってさくらを見つめる。目があった瞬間、柔和に見えた男の瞳がどこか鋭くて、思わずどきりとする。 「あ、そうなんです」  新太が照れたようにそういうと、男が笑った。 「へー。お前、彼女が出来たの初めてじゃない?」 「大介さん、でかい声でそういうこと、言わないでくださいよ」  新太が顔をしかめると、男は楽しげに笑った。 「しかも美人さんだし。はじめまして。俺、神谷大介っていいます。新太とは同業です」  そう言って微笑んだ神谷には、先程感じた鋭さはなかった。さくらは少しホッとする。同業といえば彼もゲーマーだ。  新太よりかなり年上だろう。ナチュラルに伸ばした黒い髪、切れ長の目。雰囲気は落ち着いているけれど、彼もまた組織に属している感じがしなかった。  時折みせる鋭い眼差しは一匹狼、という方が合っている。神谷大介という名前にも聞き覚えがあった。以前、司が話していたことを思い出す。 『絶対的チャンプの神谷大介』 (この人が、その神谷さん!)  さくらは慌ててたちあがった。 「川島さくらです。どうぞ宜しくお願いします」
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