第十三章 予感

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 神谷はさくらをじっと見つめてから、不意に人懐っこい笑みを浮かべた。 「どうせあと、二十分くらいしかないから、一緒にお茶してもいい?」  持っていたコーヒーを軽く持ち上げてそういうと、新太がええっ! と困惑した表情で叫ぶ。 「仮にも俺、先輩なんだからそんなにイヤな顔するなよ」  神谷は新太の失礼な態度に慣れっこのようで、口では文句をいいながら意に介する様子もない。 「あ、どうぞ座ってください」  さくらは慌ててテーブルの上を整理して、神谷のマグをおくスペースを作り、椅子をすすめた。 「川島さん、大人だなあ。新太より年上だよね?」  神谷が感心したように言う。傍から見たらやっぱりそう見えるのだろうなとさくらは苦笑しながら頷いた。 「はい。新太くんとは同じ大学で、今四年生です」  神谷は大きく瞳を見開いて、新太を見た。 「まじで?! 新太、お前今年大学にはいったばかりだろ? 新入生のくせして年上の、しかもこんな綺麗なお姉さんとつきあうなんて、意外とやるなあ。ゲームばっかりしてて、恋愛なんか全然興味ありませんって顔してた癖に」 「余計なお世話です」  新太が拗ねたようにそういうと、神谷は楽しそうに笑った。 「いや、本当にガキの頃から知っているから感慨深くてさ」  神谷がコーヒーを一口飲んだところで、さくらが話しかける。 「神谷さんは、新太くんと付き合いは長いんですか?」 「新太が中学に入ったばかりくらいの頃から、かな。ゲーセン仲間にガキなのにうまい奴がいるって紹介されて。それが新太」 「そうだったんですか」 「こいつの集中力って半端なくてね。本気でやっても時々負けて。とんでもない中学生がいるんだなあって思ったんだ」
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