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『また連絡する』
「わたしもするね。それじゃ、ね」
電話を切るとき、新太はいつもさくらが電話を切るまで待ってくれている。気にしなくていいからといっても必ずそうする。
最初に電話をしたときはまたね、がエンドレスになってしまい、二人で笑いながら一緒に切ろうといって同時に切った。それだって新太はもしかしたら切っていなかったかもしれない。それ以来電話はさくらが先に切るようになっていた。
『またね』
穏やかにそういってくれる新太の声を聞いたあと、通話を切って、彼の声を反芻するように目を閉じた。
「さくら、電話終わった?」
はっとしてふりかえると、朋美がお風呂にはいる準備を整えビニールバックを手にして立っていた。
「朋ちゃん、待っていてくれたの? ゴメンね。今、用意する」
「あーいいの。慌てないで。お風呂場、ちょっと狭いし、ユウカとサチに先に行ってもらったから。時間差にしたほうがいいかと思って」
「ありがとう」
そうはいっても、さくらはできるだけ手早く準備する。朋美はそんなさくらをじっと見つめていたけれど、ふいに尋ねてきた。
「さっきの電話、彼氏でしょ?」
「え?」
朋美が何でもないことのようにさらりという。さくらはなんといっていいか迷う。ゼミ仲間には誰にも新太と付き合っていることを言ってなかった。そんなさくらを見て、朋美が笑った。
「アラタくん、だっけ? 見た目はジャニーズみたいにカワイイのに、中身はクールで気が強い年下イケメン」
「えっ……。朋ちゃんなんで知ってるの……」
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