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「三井も本気でさくらのこと、好きだから」
本気、という言葉にうまく反応することができない。
「三井くん、そんな感じじゃなくて、いつもふざけてて……」
朋美はすぐに首を横にふる。
「三井のこと、よく知らないアラタくんですら、すぐに三井の気持ちに気づいたから牽制しに来たんだよ。さくらだけがそこに気づいてないというか。うーん、三井きついな、これは」
ため息まじりの苦笑を浮かべながら朋美にそういわれてしまったら、反論できない。さくらがそのまま固まっていると、ふいに部屋のドアが開いた。
「あれー? 朋とさくら、まだ部屋にいたの? 早くお風呂に入らないと順番待ちしてる男子たちが痺れきらすよー?」
サチの間延びした声が響く。
「ごめーん! ついおしゃべりしちゃった。早くいかないとね」
何事もなかったようにそう答える朋美に、さくらはただ、頷くことしかできなかった。
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