第十五章 溢れ落ちるもの

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 まず、惨敗した対戦のビデオを念入りにチェックして、問題点を洗い出す。見つけた穴をフォローするため、徹底的に欠点を補うトレーニングをしなくてはいけない。  いつものルーティンを更に濃く、よりハードにやるしかない。それはさくらと過ごせる時間が、更に削られることを意味していた。けれどそれができなければ、プロとしてたち行かなくなる。  新太は一瞬顔をしかめ、大きく首を振る。今はただ、さくらに会うことだけ考えたかった。ゆっくりと立ち上がり、大きく吐息をついたあと、シャワーを浴びるためにバスルームに向かった。   
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