第三章 彼の個人的活動

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 月曜日の一限目。学生ならとりたくない朝一番の授業。そんな時間帯にも関わらず、新太はいつも少し早くきていて、さくらが隣にすわるとにこりと微笑んで挨拶してくれる。つられてさくらも自然と笑顔になってしまう。 「最初会ったときは凄くねむそうだったけど、新太くんは月曜日の朝イチでも、さわやかだよね」  新太は戸惑うような表情をして、ひとつ咳払いをした。 「うーん、どうなんだろう。とりあえず月曜日の朝からシャキッとしていると、一週間がんばれる、みたいな感じですか?」  ほんの少し目を泳がせたまま、まるでサプリメントのコマーシャルのように答えた新太に、さくらは小さく吹き出す。 「本当にそうだよね。見習わなきゃ」  さくらにそう言われ、新太は困ったようなに笑う。 「いやいやいや。そんな立派なモノではないんです、ホントに」 「ううん。月曜日の朝から清々しい新太くんを見ると、今週もがんばろうって気になるよ?」 「あ、それは俺も。さくらさんに会えるとテンション上がります」  そんなセリフをサラっと言ってのけてニコリと笑う。さくらのほうが少し照れてしまうくらい彼の笑顔は眩しい。思わず言ってしまう。 「新太くん、モテるでしょ?」 「は?!」    新太が唐突に変な声をだして、凄くビックリした顔をしたので、さくらはつい笑ってしまった。 「モ、モテないですよ。俺、いままで女の子と付き合ったことないし」 「本当に? 絶対モテるよ。告白されたことはあったでしょ?」  実際、教室にいてもチラチラと女の子たちが新太に視線を送ってくるのがわかる。キュートで甘く整った顔立ちはアイドルみたいだし、それが笑顔になると無敵だ。
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