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新太の内側にある強い光。エネルギー。それが何なのか、知りたい。触れてみたい。
こんなふうにさくらが他人に強く興味を惹かれることは、かなり珍しいことだった。
「だって気になるんだもの、新太くんのこと。そうだ! 時間あったら授業のあとお茶しない?」
「え……。あ、はい、それはもちろん……大丈夫、ですけど」
先生が教室に入ってきたから話が中断する。新太はちょっとビックリしたような顔をして固まったままだ。
強引な誘いっぷりに、新太も断れなかっただろうと申し訳ない気持ちを感じつつも、やっぱり好奇心には勝てない。
わくわくするような高揚感を感じたまま、新太に微笑みかけて、すぐに前方に視線を移したさくらは気づかなかった。
新太の頬が次第に赤くなり、彼がそれを隠すように頬に手を当てたことを。
☆
授業が終わり、学校のカフェテリアでお茶をすることにした。まだ十時をすぎたばかりだから、学生もまばらだ。
「新太くんってどんな"個人的な活動"をしているの?」
向かいあわせに座って開口一番そう尋ねると、缶コーヒーを飲んでいた新太が軽くむせた。
「やっぱりその話の続き、ですか?」
咳がとまったあと、少し困った顔をして苦笑を浮かべた新太に、さくらはにこにこと微笑みかけた。
「新太くんは、他の人とは違う雰囲気あるから。何かに打ち込んでいる人、特有の。だから何をしているんだろうってすごく興味がわいちゃって」
新太はとても驚いたように瞳を見開いた。その大きな瞳でしばらくさくらを見つめたあと、はあと息を吐いて苦笑した。
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