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いくら後ろにいたからといって、あの状況でさくらの声が新太に届く訳がない。けれど実際聞こえたのだ。
さくらの心情が、視覚、聴覚を通さずダイレクトに意識に刺さったとしか思えなかった。イヤな予感のようなものが背中を走り抜け、吐き出した息が微かに震えた。
さくらが泣いた理由を知ることが怖かった。けれど聞かなくてはならない。
「泣くって、どうして……？」
さくらはしばらく下を向いて黙っていた。けれど思いきったように顔をあげる。泣きそうなのに、必死で笑みを浮かべようとしているその表情が、新太の心を揺さぶる。
「……新太くんが本気でプレイしているところを見て、やっぱり思い知らされたの」
「……」
「私は……新太くんの側にいちゃいけないんだって」
震える唇から、絞りだすように落ちてきた言葉が新太の心に突き刺さる。必死で微笑もうとしているさくらの目から、涙がこぼれ落ちた。
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