第十八章 ただひたむきに

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 まだ新しいコンクリート造りの3階建ての建物で、一階部分は山谷小児科クリニックと看板にかいてある。 「ここが新太くんのおうち?」 「そう。親が二人とも小児科医なんだっていわなかったっけ?」 「うん。知らなかった」  打ちっぱなしコンクリート造りでありながら、殺風景にならないよう、ところどころに木枠がはめ込まれた洒落た雰囲気の建物だ。 「ステキなお家ね」 「以前は超ボロボロの古い木造家屋だったんだけど、大きな地震が来たら絶対ヤバいって四年前に建て替えたから。一階がクリニックで、上が住居になってる」  新太は裏口に回って、インターフォンを鳴らした。 『はーい』  スピーカーから男の子の元気な声が響いてくる。 「げっ! 何で聡太が月曜日の昼間に家にいんだよ!」  新太が顔をしかめてぶつぶついうと、新太? ナイスタイミング! インターフォンの向こうからそう叫ぶ声が響いたあと、ぶつっと音が切れた。新太はため息をついた。 「すいません。なぜか弟の聡太がいたから騒がしいかもしれないけど、さくっとスルーして気にしないでください」 「スルーって……」  さくらが困って苦笑すると、すぐにドタバタとドアの向こうから走ってくる音がして、がちゃりとドアがあいた。  顔を覗かせた男の子は、さくらの弟、哲人と同じくらいの年に見えた。切れ長の瞳をしていて、顔立ちの趣は新太とはかなりちがっているけれど、ふわふわな髪の毛と、顔が小さくて手足が長い立ち姿はよく似ている。  「新太! ちょうどよかった。今日体育祭の振替休日で、友達とストⅤプレイしててさ、新太ちょっとでいいから一緒に……あれ?」
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