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そこまで聡太が言ったあと、新太の後ろにいたさくらと目が合った。
「こんにちわ。はじめまして」
さくらが挨拶すると、聡太がうわっ! と変な声を洩らし、さくらを凝視した。それからは、はじめまして! とあわてて頭を下げた。
「川島さくらです」
「あ、俺、新太の弟で、聡太といいます」
聡太が何度か新太とさくらを見比べたあと、恐る恐る尋ねてきた。
「あの、もしかして、新太の彼女さんってことは……ないですよね?」
「はあ? ふざけんな。なんで頭から否定で、入ってくるんだよ」
イライラした口調で新太がそういって睨むと、聡太も口を尖らせる。
「ゲームヲタな新太に、こんな美人の彼女ができるわけ、あ、イッテー! いきなり頭、叩くなよ!」
「うっせーな。男子校で彼女もいないお前に、そんなえらそうな口、叩かれたくないわ!」
「態度悪っ。じゃ、お前の恥ずかしい話、彼女さんにばらしてやるからな。あのですね、こいつ、こんな澄ました顔していますけど、実は……」
「……小学生か、お前は」
新太の呆れた声にかぶせるように、聡太が畳み掛ける。
「ばらされたくなかったら、ちょっとでいいから一緒にストⅤやってよ! 久しぶりに新太とやってみたいんだよ。腕あげたからさ。友達もやりたいって」
「お前らと格ゲーやってる暇ないの。この後さくらさんと出かけるんだから」
漫才みたいなやり取りを繰り広げている二人を、呆気にとられて眺めていたさくらは、はっとして口を挟んだ。
「あ! 新太くん、私はいいから、弟さんとゲームやってあげて」
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