第十八章 ただひたむきに

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 そこまで聡太が言ったあと、新太の後ろにいたさくらと目が合った。 「こんにちわ。はじめまして」  さくらが挨拶すると、聡太がうわっ! と変な声を洩らし、さくらを凝視した。それからは、はじめまして! とあわてて頭を下げた。 「川島さくらです」 「あ、俺、新太の弟で、聡太といいます」  聡太が何度か新太とさくらを見比べたあと、恐る恐る尋ねてきた。 「あの、もしかして、新太の彼女さんってことは……ないですよね?」   「はあ? ふざけんな。なんで頭から否定で、入ってくるんだよ」  イライラした口調で新太がそういって睨むと、聡太も口を尖らせる。 「ゲームヲタな新太に、こんな美人の彼女ができるわけ、あ、イッテー! いきなり頭、叩くなよ!」 「うっせーな。男子校で彼女もいないお前に、そんなえらそうな口、叩かれたくないわ!」 「態度悪っ。じゃ、お前の恥ずかしい話、彼女さんにばらしてやるからな。あのですね、こいつ、こんな澄ました顔していますけど、実は……」 「……小学生か、お前は」  新太の呆れた声にかぶせるように、聡太が畳み掛ける。 「ばらされたくなかったら、ちょっとでいいから一緒にストⅤやってよ! 久しぶりに新太とやってみたいんだよ。腕あげたからさ。友達もやりたいって」 「お前らと格ゲーやってる暇ないの。この後さくらさんと出かけるんだから」  漫才みたいなやり取りを繰り広げている二人を、呆気にとられて眺めていたさくらは、はっとして口を挟んだ。 「あ! 新太くん、私はいいから、弟さんとゲームやってあげて」
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