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新太と嬉しそうにゲームをやっている男の子二人に視線を向けた。
「男子校ってすごい。女子校出身の私からみたら、すごく自由」
聡太は笑いながら頷いた。
「うちの学校が特別自由なんですよ。校則なんてあってないようなものだし、好きなことやれっていうのが校風だから。
あ、ソレで今度の文化祭、新太を呼んで、俺が司会進行して対談形式のプロゲーマーによる講演会やろうって企画したんですけど、新太が絶対いやだっていうんですよ」
新太が嫌がる様子が目に浮かんでさくらは笑ってしまう。実現したら、聡太の高校生離れした話術で、身内視点も絡めて新太のゲーマーとしての魅力を引き出すだろうから、高校の文化祭企画としてはかなり見応えのあるものになるはずだ。
「すごく面白そうなのにね」
「でしょ? 絶対成功させる自信はあるんですけど、新太がそんなのやりたくないって首を縦にふってくれないんですよ。一応講演場所の教室も押さえてあるんだけど、最近遠征とか色々あって忙しそうで機嫌も悪かったし、もう無理かなあって思っていたんです。
でも今日さくらさんと一緒にいるのを見たら、機嫌いいじゃん、みたいな。もう一回プッシュしようと思っているんです。それであの、さくらさんも、一緒に新太に頼んでくれませんか?」
さくらは瞳を見開いた。今、二人のバランスが微妙な状態なのを聡太に説明することなんてできない。伏し目がちにそっと微笑む。
「あ、うん。力になれるかわからないけど、私で良ければ」
聡太はそんなさくらをじっとみたあと、はあ、とため息をついた。
「え? どうしたの?」
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